甲武信ユネスコエコパーク登録!何が変わる?わかりやすく徹底解説
山梨県は南アルプスエコパークに引き続き、県内2ヶ所目として「甲武信(こぶし)ユネスコエコパーク」が2019年6月19日、登録されました!
甲武信は地層や岩石の種類が多く、動植物も多様性に富む地域で、とくに蝶類は希少種の宝庫です。
甲武信ユネスコエコパークの範囲は、山奥の自然が多い地域だけでなく、人が住む市街地にも及んでいて、とても身近なものでもあります。
今回は「甲武信ユネスコエコパーク」について、
・ユネスコエコパークとは
・山梨県のどこが含まれる?
・特徴や期待されること
・何が変わるのか
など、わかりやすく解説していきます。
「ユネスコエコパーク」について
まずは「ユネスコエコパーク」に全体について説明します。
ユネスコエコパークとは
ユネスコエコパークとは、「ユネスコ 人間と生物圏計画」にもとづいて、ユネスコによって国際的に認定された地域をいいます。
「ユネスコエコパーク」という名称は、日本国内で呼ばれている呼称で、正式には「生物圏保全地域(英名:BR:Biosphere Reserves)」といいます。
自然と文化を守りながら研究や観光などに活用し、発展をめざす地域が認定・登録されます。
世界自然遺産との違い
世界自然遺産は手つかずの自然を守ることを原則とする一方、ユネスコエコパークは生態系の保全と持続可能な利活用の調和が目的です。
自然の保護・保全だけでなく、広い意味での、自然と人間社会の共生や自然を活用していくことに重点を置いているのが特徴です。
ちなみに、富士山は「信仰の対象と芸術の源泉」として世界文化遺産に登録されています。
ユネスコエコパークは、「保存機能」「学術的支援」「経済と社会の発展」の3つの機能を持ち、さらに「核心地域」「緩衝地域」「移行地域」の3つの地域にわかれて構成しています。
次でさらに詳しく見ていきましょう。
3つの機能
ユネスコエコパークには、3つの大切な役割があります。
① 保存機能(生物多様性の保全)
人間の干渉を含む生物地理学的区域を代表する生態系を含み、生物多様性の保全上重要な地域であること。
② 学術的研究支援
持続可能な発展のための調査や研究、教育・研修の場を提供していること。
③ 経済と社会の発展
自然環境の保全と調和した持続可能な発展の国内外のモデルとなりうる取組が行われていること。
それぞれは、お互いに重なり合い強化される関係となっています。
つまり、
・豊かな生態系・生物多様性を守ること
・自然を学ぶことができる
・自然環境を守り共存していく、国内外のモデルとなる
という役割をユネスコエコパークは担っています。
3つの機能を果たすために、3つの地域(ゾーニング)が決められています!
次で説明していきますね。
3つの地域にわかれる
3つの地域(ゾーニング)は、以下のようになります。
①核心地域
・生物多様性を保護・保全する地域
②緩衝地域
・核心地域を保護するための緩衝的地域
・教育や研修、森林セラピー、エコツーリズムなどが行われる
③移行地域
・人が住み、自然環境の保全と調和した持続可能な地域社会への発展を実現する地域
・生物資源を活用した農産物や伝統工芸品などの、伝統文化の保全・継承
3つ地域を図で表すと、このようなイメージになります。
移行地域の中に緩衝地域があり、緩衝地域の中に核心地域があります。
核心地域を守るために、緩衝地域が設けられています。
甲武信ユネスコエコパークは国内10ヶ所目の登録地
世界のユネスコエコパーク 登録総数は、122カ国686地域です。(2018年7月現在)
日本国内では、今まで9地域が登録されていました。
・白山(富山県・石川県・福井県・岐阜県)・大台ヶ原・大峯山・大杉谷(奈良県・三重県)・屋久島・口永良部島(鹿児島県)・綾(宮崎県)
・只見(福島県)
・南アルプス(山梨県・長野県・静岡県)
・祖母・傾・大崩(宮崎県・大分県)
・みなかみ(群馬県・新潟県)
甲武信ユネスコエコパークは国内10ヶ所目、山梨県内では「南アルプス ユネスコエコパーク」に次ぐ2ヶ所目となります。
ユネスコエコパークは、都道府県別ではなく、国際的に認められた地域を指します。
だから、いくつかの都府県が混ざり合っています!
山梨県「南アルプス ユネスコエコパーク」
山梨県では2014年に「南アルプス ユネスコエコパーク」が登録されました。
山梨県内は、北杜市・韮崎市・南アルプス市・早川町が含まれていますが、なかでも北杜市の動画がわかりやすくまとめてあります。
エコパークのイメージが掴めると思いますので、紹介します。
では、次で「甲武信ユネスコエコパーク」について見ていきましょう。
「甲武信ユネスコエコパーク」について
「甲武信」とは、山梨県・埼玉県・長野県・東京都にまたがった、甲武信ヶ岳を中心とする地域を指します。
甲武信ユネスコエコパークは、4都県12市町村で構成されます。
・山梨県(北杜市・甲斐市・甲府市・山梨市・大月市・甲州市・小菅村・丹波村)
・埼玉(秩父市・小鹿野町)
・長野県(川上村)
・東京都(奥多摩町)
山梨県では、北東部地域の山岳地帯~市街地・果樹栽培地域まで入ります。
3つの地域(核心地域・緩衝地域・移行地域)は、このようにわかれます。
3つの地域ごとに、どんな場所が入るのか見ていきます。
核心地域
・甲武信ヶ岳
・信濃川(千曲川)の源流
・高山チョウなど希少種の宝庫
深い森の山岳地帯や川の源流・水源域、豊かな自然が入ります。
緩衝地域
・御岳昇仙峡(甲府市・甲斐市)
・西沢渓谷(山梨市)
・多摩川源流大学(小菅村)
観光地として多くの人が訪れる場所で、自然体験や環境教育にも活用している地域です。
移行地域
・秩父夜祭り(秩父市)
・ぶどう畑(山梨市他)
人が住む市街地や農業地帯が入ります。
山梨でいうと、ぶどう畑の風景も移行地域にわけられます。
昇仙峡や西沢渓谷などの観光地は、「緩衝地域」となり、甲府市北部の住宅地や山梨市や甲州市のぶどう畑は「移行地域」に含まれるのね。
結構身近な存在なのね!
甲武信ユネスコエコパークの特徴
特徴は以下のようになります。
・甲武信ヶ岳・金峰山・雲取山等の日本百名山にあげられる山々が連なる奥秩父主稜
・荒川・多摩川・富士川(笛吹川)・信濃川(千曲川)源流部がある
・御岳昇仙峡等の渓谷など、首都圏近郊にありながら美しい自然に恵まれている
・生物多様性に富む、貴重な生態系が広く保全されている
・民俗芸能が保全・伝承され、山岳・神社信仰にまつわる多様な文化がある
・山肌を覆う深い森は、首都圏や周辺地域の水源域
・森づくりや自然保護等に取り組む団体や事業者、地域住民も多い
評価されたポイント
「甲武信ユネスコエコパーク」が評価されたポイントは以下のようになります。
・絶滅危惧種である希少なチョウが数多く生息している
・豊かな植生
・生物相の多様性
・豊かな水源
甲武信ユネスコエコパークは、水源としてのエコシステムを保全し、林業などの天然資源を持続的に活用していることが評価されました。
また、生物多様性の豊かさが評価されていますが、なかでも「チョウ類の宝庫」となっていることが特徴です。
チョウは国内320種いるうち、甲武信ユネスコエコパークには126種が生息していて、うち24種はゴマシジミやコヒョウモンモドキなどの絶滅危惧種が生息していることがわかったそうです。
何が変わる?
すでに住んでいる人も多いエコパークですが、登録により新たに何か規制される訳ではありません。
急に何かが変わるわけではないのですが、国際的に価値があると認められたというのは、とても誇らしいことです。
この自然環境を守るとともに、共生して、恥じる行いをしないようにしていきたいですね。
ユネスコエコパーク登録で期待される効果
ユネスコエコパークの登録地域は、ユネスコエコパークの世界ネットワークに登録されます。
世界的な評価を受けることで、自然環境の保全や人間社会との共生に関する取り組みについて、国際的に情報共有されるようになります。
人口が減少し地域産業の後継者育成が課題の中、エコパークに登録されたことによって、地域活性化を担うことが期待されます。
山梨市のツイッターです。
㊗️甲武信ユネスコエコパーク登録決定㊗️
8月18日には、甲武信3地域の交流を目的としたイベント「笛吹川源流まつり」が開催されます😆✨
源流そば処や、高原野菜の販売など毎年大人気‼️
魚のつかみ取り、ダム見学ツアー、雁坂トンネルミステリーツアーなどの体験イベントも盛り沢山ですよ☺️🎀 pic.twitter.com/gh29F0AFUO— 山梨市観光協会 (@yamanashikanko) 2019年6月20日
今後のイベントが開催されるようですね!
源流そば処・高原野菜の販売・魚のつかみ取りなどなど、楽しそうです。
私は、ダム見学ツアーと雁坂トンネルミステリーツアーが気になります!
今後はこのように、関連イベントが増えてくるのではないかと思います。
「甲武信ユネスコエコパーク」を多くの方に知ってもらうことが、まず第一歩として、地域活性化につながっていけるよう期待しています。
おわりに
甲武信ユネスコエコパークが登録されたことによって、私たちの生活にはなにも変化はありませんが、国際的に高く評価されたというのはとても誇らしいことです。
今後の取り組み方も、国際的にも注目されていることと思います。
これからも自然や生態系を保存していくとともに、自然と人間社会の共生を大切にしていきたいですね。
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